日本消化器外科学会雑誌
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同時性多発性十二指腸, 小腸T細胞型悪性リンパ腫の1例
正木 裕児岡田 敏正定平 吉都
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2000 年 33 巻 10 号 p. 1775-1779

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抄録

十二指腸と小腸に同時性に多発し, 穿孔性腹膜炎をきたしたT細胞性悪性リンパ腫を経験した.症例は75歳の男性, 主訴は上腹部痛で上部消化管内視鏡で十二指腸潰瘍が認められた. 潰瘍部からの生検にてT細胞型悪性リンパ腫と診断されたため, cyclophosphamide, adriamycin, vincristine, prednisolone療法 (以下, CHOP療法) を3クール施行し, 外来で経過観察していたところ強い上腹部痛で来院, 腹部CTにてfree airを認め消化管穿孔による汎発性腹膜炎にて緊急手術を施行した. 術中に小腸に多発する腫瘍を認め, その1か所が穿孔を起こしていた. 消化管原発T細胞性悪性リンパ腫はまれで, B細胞性悪性リンパ腫に比べ予後は悪く, 注意すべき疾患であると考えられた.

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