日本消化器外科学会雑誌
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消化管穿孔を来したChurg-Strauss症候群 (アレルギー性肉芽腫性血管炎) の2例
押切 太郎中村 文隆道家 充増田 知重宮崎 恭介金古 裕之樫村 暢一松波 己近藤 哲加藤 紘之
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2000 年 33 巻 10 号 p. 1789-1793

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抄録

症例1は64歳の女性で, 喘息症状の悪化にて入院となり, 末梢血好酸球増多, 筋生検における血管炎の存在を認め, Churg-Strauss syndrome (以下, CSSと略記) と診断されたステロイドの維持療法中, 短期間に2度の小腸穿孔をきたし手術を施行したが, その後血管炎の増悪による胆嚢壊死, 消化管壊死・出血をきたし死亡した. 症例2は67歳の男性で, 数年前より喘息症状がみられた. 多発単神経炎による下肢の脱力にて入院となり, 末梢血好酸球増多・神経生検における血管炎の存在を認め, CSSと診断された.ステロイドのパルス療法を施行後に小腸穿孔をきたして手術を施行し, 現在経過観察中である. 両症例とも病理組織学的に切除標本に血管炎像を認め, ステロイド投与にての寛解は得られなかった. ステロイド治療に抵抗を示すCSSが消化管穿孔を合併した場合, 再穿孔する可能性が高いと思われた.

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