日本消化器外科学会雑誌
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腸間膜脂肪織壊死による仮性腸間膜嚢胞の1例
矢島 浩保谷 芳行又井 一雄河野 修三織田 豊栗原 健村井 隆三山崎 洋次
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2000 年 33 巻 11 号 p. 1835-1838

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抄録

空腸間膜に発生した仮性嚢胞の1例を経験したので報告する. 症例は31歳の女性. 健康診断で尿潜血を指摘され当院内科で腹部超音波検査を施行した. 腹腔内腫瘤を指摘され, 精査加療目的で当科紹介となった. 腹部CT検査を含めた術前画像診断で腹腔内皮様嚢腫を疑い, 腫瘤摘出術を行った. 腫瘤は空腸間膜に存在し, 直径約4cmで白色, 表面平滑, 弾性硬であった. 摘出標本の肉眼所見は黄色粥状物を含む嚢胞であった. 病理組織学的には線維性結合織を主体とした嚢胞壁で上皮細胞はなく, 壁内にはリンパ濾胞様構造や硝子化様変性を認め, 腸間膜の脂肪織壊死が単房性に仮性嚢胞化した病変と考えた. 仮性腸間膜嚢胞の本邦報告例は自験例を含め13例であり, 極めてまれな疾患と考えられた.

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