日本消化器外科学会雑誌
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肝細胞癌切除後肺転移例に対する肺切除の意義と適応
西野 佳浩広橋 一裕首藤 太一井上 清俊葛城 邦浩田中 宏久保 正二木下 博明
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2000 年 33 巻 8 号 p. 1468-1472

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抄録
われわれが切除した肝細胞癌562例のうち1998年7月までに臨床的に肺転移を来たした23例を肺転移巣切除8例 (肺切群) と非切除15例 (非肺切群) に分け各群の臨床像を比較した.
肺転移時に残肝再発を併存した症例は肺切群, 非肺切群でそれぞれ5例, 10例であった. このうち非肺切群3例には追加治療を行いえなかった. 肺転移までの期間, 肺転移巣の局在に差はなかったが, その個数は肺切群では全例countableで, 非肺切群では3例がuncountableであった.
肝切除後累積生存率および肺転移後累積生存率とも肺切群が良好であった (p=0.0447, p=0.0020).また, 非肺切群死亡11例中3例が肺転移に起因する癌死であったが, 肺切群死亡4例の死因は肺転移によるものでなかった.
肺転移巣数がcountableで, 残肝再発の制御されている肝癌切除後肺転移例に対して肺切除を行うべきであると考える.
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