日本消化器外科学会雑誌
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大腸癌腹膜再発診断におけるFDG-PETの有用性の検討
田中 具治河合 泰博金井 陸行滝 吉郎中本 裕士高林 有道
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2001 年 34 巻 11 号 p. 1577-1581

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抄録

はじめに: 大腸癌腹膜再発診断におけるFluorine-18-2-fluoro-D-glucose positron emission tomography (FDG-PET) の感度ならびに正診率を検討し, これをcomputed tomography (CT) を比較した.加えて, 再発病変に対する外科的切除術の適応決定にFDG-PETが, どの程度有効かについても検討を加えた. 方法: 過去に原発巣に対して治癒切除を受け, 臨床症状, 腫瘍マーカー (CEA), 腹部骨盤CTなどにて再発が疑われた大腸癌患者18人に対しFDG-PETを施行し, 腹膜再発と診断された場合, 原則として手術を施行した. 最終診断をCT, FDG-PETの結果と比較した.結果: 18例中5例9部位において腹膜再発が疑われ, うち8部位が悪性であった. FDG-PETの感度は88%, 正診率は78%で, CTでは, それぞれ38%, 44%であった. またFDG-PETで腹膜転移が疑われた6例のうち5例に腹膜転移を認めた. CTでは, 30mm以下の病変は診断できなかったのに対し, FDG-PETでは, 最小15mmのものまで診断可能であった.考察: FDG-PETは, 大腸癌腹膜再発の診断における有力な低侵襲検査であり, その肝転移, 局所再発に対する診断能の高さとあわせて今後大腸癌の術後検査として重要性を増していくものと思われる.

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