2001 年 34 巻 12 号 p. 1742-1746
症例は57の男性. 既往にC型慢性肝炎があった. 右季肋部痛, 黄疸にて当院入院となった. ERCにて左肝管に透亮像を認めた. CT, エコーにて肝に腫瘍を認めず, 肝内結石症と診断された. 黄疸は保存的に軽快し, 外来経過観察となったが, 経過観察中, AFP値が上昇し再入院となった. CT, エコーにて肝臍部から総胆管に胆管内腫瘍を認めたが, 肝内に腫瘍を認めなかった. ERCにて総胆管内に浮遊する透亮像を認めた. 肝細胞癌の胆管内発育と診断し, 肝左葉切除, 胆管内腫瘍摘出術を施行した.術後標本にてS4に直径1.5cmの腫瘍を認め, 低分化型肝細胞癌, vp2, vv0, b2であった. 術後2年3か月で再発を来たし, 6年1か月で原病死した. 画像診断上肝内に腫瘍像を認めず, 胆管内結石と鑑別が困難であった興味深い1例であったので報告した.