日本消化器外科学会雑誌
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自己免疫性肝炎の経過中に発症し治癒切除しえた肝細胞癌の1例
敷島 裕之本原 敏司加藤 達哉金子 行宏加藤 紘之
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2001 年 34 巻 2 号 p. 105-108

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抄録

自己免疫性肝炎 (autoimmune hepatitis; 以下, AIH) の経過観察中に肝細胞癌を合併した1例を経験したので報告する. 症例は66歳の女性で平成元年4月よりAIHの診断にてプレドニンの内服治療を受けていた. 平成11年1月α-fetoprotein (AFP) の上昇と超音波検査にて肝S8に腫瘤を認め, 入院となった. 輸血歴, 飲酒歴はなく肝炎ウイルスマーカーはすべて陰性であったが, 抗核抗体陽性であった. 各種画像診断にてHCCと診断し, 同年3月肝亜区域切除術 (S8) を施行した. 腫瘍は3.3×3.0cmのEdmondson II>III型のHCCで, tw (-) の治癒切除であった. AIHのHCC合併例は, 高度進行例として発見されることが多く, 腫瘍マーカーはもとより各種画像診断を積極的に行うことが重要であると考えられた.

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