日本消化器外科学会雑誌
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胆道出血, 胆管炎で発症した胆嚢癌の1例
菅原 元山口 晃弘磯谷 正敏原田 徹金岡 祐次鈴木 正彦芥川 篤史鈴村 潔臼井 達哉
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2001 年 34 巻 2 号 p. 109-113

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抄録

症例は右季肋部痛を主訴に来院した70歳の女性. 血液生化学検査で, 炎症所見と高度の肝機能障害, 腹部USでは胆嚢の壁肥厚と胆泥, 総胆管の拡張像を認めた. ERCPでは, 乳頭開口部に凝血塊を認め, 胆道造影では総胆管に陰影欠損像を認めた. ENBDによる胆道減圧後の胆道造影では, 総胆管の陰影欠損像は消失し, 胆嚢底部の陰影欠損像と, 胆嚢内の凝血塊によると思われる淡い透亮像を認めた.血管造影では胆嚢動脈浅枝に, 晩期相でtumor stainを認めた. 腫瘍からの出血による胆道出血と胆嚢炎, 胆管炎を合併した胆嚢癌と診断し, 2群リンパ節郭清を伴う肝S4a+5+6a切除+胆管切除, 肝管空腸Roux-Y吻合を施行した. 切除標本では胆嚢底部に新鮮な凝血塊の付着を伴う30×20mm大の乳頭浸潤型の腫瘍を認め, 組織学的には, 高分化型管状腺癌であった. 腫瘍の近傍にヘモジデリンの沈着を認め, 出血源と考えられた.

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