抄録
症例は22歳の女性. 既往歴, 家族歴に特記すべきことなし. 平成11年9月7日発熱, 腹痛を主訴に近医受診, 急性腸炎の診断で治療受けるも症状は軽快しなかった. 同年9月14日当院受診, 来院時39度の発熱とMcBurney点を最強とする圧痛および腹膜刺激症状を認めた. 急性虫垂炎による腹膜炎の診断で緊急開腹手術となった. 壊疽性虫垂炎で膿性腹水の貯留を認めた. 術後, 創部の経過は良好であったが食欲不振と全身倦怠感, 微熱が持続した. 第14病日に施行した腹部CT検査上肝S6に径80mmの低信号域を認めた. 肝膿瘍の診断で同日腹部超音波誘導下に穿刺ドレナージ術を施行した. 膿瘍腔の洗浄と抗生剤の局所注入および全身投与を行った. 炎症所見は著明に改善し穿刺後21日目には膿瘍腔が消失, 29日目にはカテーテルを抜去し, 41日目に退院となった. 11か月後の現在, 全く異常を認めず生活している.