日本消化器外科学会雑誌
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総胆管結石症を伴った胆嚢低形成症の1例
丸田 智章大竹 雅広末広 敬祐吉田 奎介
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2002 年 35 巻 1 号 p. 54-57

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抄録

総胆管結石を伴った胆嚢低形成の1症例を経験した. 症例は62歳の女性で, 近医で肝機能異常を指摘され, 総胆管結石と診断された. 手術を希望し当科へ紹介された. 当科受診時の肝機能, CA19-9とも正常範囲であった.腹痛などの症状もなかった.Drip infusion cholangiography (以下, DICと略記) で総胆管は20mmと拡張し, 1cm大の総胆管結石を1個認めた. 胆嚢は描出不良だった. CTで胆嚢は描出されず, 他に異常はなかった. DIC-CTの3次元構築で総胆管に胆嚢管と思われる瘤があり, 萎縮胆嚢と考えられた. 以上より, 萎縮性胆嚢炎, 総胆管結石として手術した. 開腹所見で腹腔内に癒着などの炎症所見はなく, 総胆管に小突起があり, 胆嚢低形成と診断した. これを切除, 総胆管切石術を施行した. 胆嚢欠損, 胆嚢低形成は比較的まれな胆道奇形であり, 術前画像診断で胆嚢の存在が不明瞭な場合, 本症も考慮に入れる必要があると考えられた.

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