日本消化器外科学会雑誌
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副脾茎捻転の1手術例
藤田 秀人井口 雅史岩田 啓子鰺坂 秀之山本 精一加治 正英前田 基一薮下 和久小西 孝司内山 明央
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2002 年 35 巻 1 号 p. 73-77

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抄録

副脾の発生頻度は10~30%と報告されているが, 一般には無症状で臨床的に問題となることは少ない.極めてまれな, 副脾の茎捻転により急性腹症を呈した1例を経験したので報告した.症例は23歳の男性で, 主訴は左側腹部痛と発熱である.血液検査成績では白血球数上昇を認めた.腹部超音波検査, CT検査, MRI検査で腹腔内に充実性腫瘤を指摘された.腹腔内腫瘍の診断で開腹したところ大網内に8cm大の充実性腫瘍を認め摘出した.腫瘍は捻転した左胃大網動静脈からの血管茎を伴っていた.摘出標本は大網に覆われ暗赤色の脾様を呈しており, 病理組織学的には脾臓組織から形成され広範な壊死と線維化が認められた.以上の所見から, 腹腔内腫瘍は副脾であり茎捻転により梗塞をきたし腹痛を生じたと考えられた.副脾茎捻転はまれな疾患であるが, 若年者の腹痛を伴う腹腔内腫瘤の鑑別診断として銘記すべき疾患と考えられた.

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