日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
消化管出血を契機として発見された小腸原発malignant gastrointestinal stromal tumor の2例
津田 倫樹脇山 博之岡田 和慈渡邊 千之松熊 晋
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 35 巻 1 号 p. 78-82

詳細
抄録

消化器出血を契機として発見された小腸原発gastrointestinal stromal tumor (GIST)の2例を経験した.症例1は80歳の男性.タール便を主訴として来院.Treitz靱帯より約10cm肛門側の空腸に, 内腔に突出する径約3cmの粘膜下腫瘍を認め, 手術施行.病理組織学的検索にて, low-grade malignant GISTと診断され, 免疫染色にてCD34に陽性, α-SMAに一部陽性で, 平滑筋への分化傾向を示した.症例2は73歳の男性.下血を主訴として来院.小腸壁と連続する腫瘤を認め, 消化管出血シンチにて小腸への出血を確認したので手術施行.病理組織学的検索にて, malignant GISTと診断され, 免疫染色にてCD34に陽性, S-100に一部陽性で, 神経への分化傾向を示した.本邦での小腸原発のGISTの報告例は, 自験例を含めて9例であり, 内6例は悪性または悪性を疑わせるものであった.小腸原発のGISTは悪性の可能性が高く, 術後も十分な経過観察が必要と思われた.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top