日本消化器外科学会雑誌
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Comparative genomic hybridization 法を用い遺伝的解析を施行した同時性3多発進行大腸癌の1例
都志見 貴明高橋 剛福田 重年小田 達郎井口 智浩江里 健輔
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2002 年 35 巻 1 号 p. 97-101

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抄録

同時性3多発進行大腸癌の1切除例を経験した.症例は69歳の男性.主訴は下血.注腸造影検査, 大腸内視鏡検査にて盲腸, 横行結腸, S状結腸の3多発癌と診断され手術を施行した.S状結腸切除, 横行結腸部分切除, 回盲部切除を行い, S状結腸領域にはD3郭清を, 横行結腸, 回盲部領域にはD2郭清を行った.病理組織所見はS状結腸, 横行結腸, 回盲部のいずれの腫瘍も中分化型の腺癌であった.深達部はS状結腸, 横行結腸でss, 回盲部でmpであった.いずれの領域でもリンパ節の転移は認めなかった.また, CGH法を用い, 遺伝的解析を行った.盲腸, 横行結腸, S状結腸のいずれにおいても, 17番染色体短腕の欠失が認められ, 本症例はadenoma-carcinoma sequenceに関連して発生したことが示唆された.

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