日本消化器外科学会雑誌
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術前診断可能であった成人大網原発巨大lymphangiomaの1切除例
新居 利英稲葉 聡矢吹 英彦吉川 大太郎石崎 彰富田 一郎唐崎 秀則
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2002 年 35 巻 11 号 p. 1740-1744

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抄録

大網原発成人発症のlymphangiomaはまれなものでありその術前診断率も低率であるが, 今回CT, 超音波, MRIにて術前診断可能であった1例を経験したので報告する.
症例は55歳の男性. 腹痛, 腹部膨満感を主訴として受診. CTにて胃大彎に接し骨盤内にまで及ぶ充実性腫瘍を認め超音波にて多房性, またMRIにてcystic lymphangiomaパターンを呈した. 他の検査を含め大網原発のlymphangiomaと診断し手術を施行した. 開腹すると腫瘍は薄い皮膜に覆われ腹腔内前面を占居. 網嚢を解放し大網を頭側に脱転してくると膵や胃結腸間膜が認められ, 腫瘍は大網原発であることが確認された. 腫瘍内容は透明なやや粘張性のある液体であった. 病理にて大網内に嚢胞上に拡張するリンパ管の増生を認め内皮細胞に異形性はなくlymphangiomaと診断された.

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