2002 年 35 巻 12 号 p. 1839-1842
症例は初回手術時59歳の男性で, 腹部腫瘤を主訴に当院を受診. 1996年S状結腸原発消化管間葉系腫瘍と診断し切除したが, 転移・再発を繰り返し, 約5年間で合計10回腫瘍摘出術を行った後, 腫瘍の再発を来した. 摘出標本の病理組織学的所見, 免疫染色でc-kit陽性のgastrointestinal stromal tumor (GIST) であった. 手術不能のため, 慢性骨髄性白血病に対する新しい治療薬であるSTI571 (Imatinib mesylate) を2001年7月から投与した (400mg/日). CTで再発巣, 肝転移巣ともに著明な腫瘍縮小効果が見られ, 新たな病変は出現しなかった. 副作用は軽微であり, 臨床症状は劇的に改善した. STI571治療開始後9か月後の現在, 元気に通院中である.