抄録
慢性透析患者において透析アミロイドーシスによる小腸穿孔を経験した. 症例は56歳の女性. 23年間の透析歴があり, 両側手根管症候群および破壊性脊椎関節症の手術歴を有していた. 下痢で発症し, 4か月後に穿孔性腹膜炎を生じて緊急手術を行った. 小腸中央部に16×8mm大の穿孔を認め, 小腸部分切除術, 端々吻合を行った. 病理学的検索で粘膜下層の血管壁にアミロイドの沈着を認め, β2-microglobulin染色陽性であることから透析アミロイドーシスと診断された. 術後早期に縫合不全をきたしたが, 最終的には敗血症により術後5か月目に死亡した.