症例は57歳の女性. 右下腹部痛を訴え, 同部に可動性腫瘤を触知した. 腹部超音波でmul-tiple concentric ring signを, 腹部CTでtarget signを認めた. 緊急手術を行い回腸-上行結腸型順行性腸重積を確認した. Hutchinson手技による整復時, 先進部回腸の腸間膜反対側に径3cmの軟結節を触知, 内腔に隆起し可動性不良, 粘膜から固有筋層以深の病変と推定された. 前後に同様の結節を5個触知した. 回腸間膜に軟リンパ節, 小結節が多数存在, 採取した. 病理組織所見は, リンパ節内にglanulomaの癒合, 類上皮細胞とLanghans型巨細胞を含む乾酪性肉芽腫が多数みられ, あるものは融合していた. 細菌学的検査で, リンパ節好酸菌培養陽性, 胃液結核菌DNA陽性であった. 回腸結核病巣が先進部となって腸重積を起こすという, 極めてまれな合併症で発見された腸結核症の1例を経験したので報告した.