日本消化器外科学会雑誌
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5年間無再発生存中の腹膜播種を伴った膵体尾部癌の1例
上田 順彦川崎 磨美上藤 聖子古屋 大中川原 寿俊岡田 章一吉光 裕木下 一夫澤 敏治
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2004 年 37 巻 10 号 p. 1653-1657

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抄録

腹膜播種を伴った膵体尾部癌に対して原発巣と腹膜播種巣切除および持続温熱腹膜潅流 (continuous hyperthermic peritoneal perfusion; CHPP) などの集学的治療により, 5年間無再発生存中の1例を経験したので報告する. 症例は60歳の男性. 腹部CTでは膵体尾部に約4cm大の不整な低吸収域の腫瘍を認め, 腹部血管造影では脾動脈の壁不整と脾静脈の閉塞を認めた. 術前腹腔洗浄細胞診はclass IIであった. 膵体尾部癌と診断し手術を施行した. 手術所見では膵体尾部に約4cm大の腫瘍を認め, 横行結腸間膜上に米粒大の腹膜転移巣を2個認めた. D1リンパ節郭清を伴う膵体尾部+脾切除および腹膜播種巣を含めた横行結腸間膜部分切除後, CDDP 300mg, MMC 30mg, VP-16 300mg を併用したCHPPを施行した. 組織学的進行度はpT4, pN0, pM1 (PER) でpStage IVbであった. 術後動注化学療法 (CDDP50mg, VP-16 100mg を6クール) 施行した. 術後5年たった現在, 再発の徴候なく生存中である.

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