日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
Cronkhite-Canada症候群に大腸癌を併存した2例
小林 久美子飯合 恒夫亀山 仁史加納 恒久松木 淳岡本 春彦須田 武保畠山 勝義
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 37 巻 10 号 p. 1658-1663

詳細
抄録
症例1は65歳の男性. 主訴は食欲不振, 下痢, 血便. 内視鏡検査で胃と大腸にポリポーシスを認め, Cronkhite-Canada症候群 (CCS) と診断された. また, 上部直腸に高分化型腺癌を認めた. ステロイド治療で症状が改善した後, Hartmann式直腸切断術を施行した. 症例2は57歳の男性. 主訴は下痢, 味覚異常. 内視鏡検査で胃と大腸にポリポーシスを認めた. 直腸S状部の隆起性病変に対して内視鏡的粘膜切除術を施行したところ, 組織学的には高分化型腺癌であり, 周囲粘膜はCCSによる粘膜病変であった. CCSのポリープは非腫瘍性ポリープとされているが, 近年, 消化器癌の併存例が多数報告されている. 一般に予後は不良であるとされているが, 治療法の改善に伴い多くの長期生存例を認めている. このような中で, 当症例のように癌を併存する症例も増加することが考えられ, CCSに対しては注意深い経過観察が重要であると考えられた.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top