2004 年 37 巻 2 号 p. 223-228
横行結腸に発生した進行癌の根治切除後6年経過し, 胃所属リンパ節への単独転移再発を認めた症例を経験した. 症例は66歳の男性で, 1989年5月に横行結腸癌による腸閉塞で右半結腸切除術を受け, 外来通院中であった. 1994年5月よりCEA の上昇を認めはじめ, 1996年1月には胃内視鏡検査にて胃体下部大彎側に粘膜下腫瘍と考えられる隆起性病変を認めた. その後, 増大傾向を認めたためCT・腹部血管造影などを施行し, 切除可能な大腸癌再発病変と診断して1996年11月19日手術を施行した. 手術所見にて胃大彎側のNo.4dリンパ節への転移再発と診断し, 幽門側胃切除にて切除郭清した. 術後経過は良好で, 再切除後6年7か月を経過したが無再発生存中である. 初回手術後5年以上経過した横行結腸癌の胃所属リンパ節への単独転移は, 再発形式としてもまれなため, 若干の文献的考察を含めて報告する.