日本消化器外科学会雑誌
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膵炎による大腸狭窄の2例
高橋 健治柏原 瑩爾
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2004 年 37 巻 2 号 p. 229-234

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抄録

症例1は42歳の男性で, 6年前に急性膵炎でドレナージ手術を受けた. 発熱を伴う腹痛が出現し, 腹部CTで膵周囲の浸出液貯留があり, 注腸造影検査で下行結腸脾彎曲部の狭窄を認めた. 保存的治療により症状は軽快し, 大腸狭窄も改善した. 症例2は62歳の男性で, 1年8か月前に急性膵炎で絶食点滴治療を受けた. 10日前より腹満を生じ, 急激な腹痛のため緊急入院となった. 胸腹部単純X線で大量のfree airを認め, 緊急, 術を行った. 膵炎による下行結腸の狭窄のため横行結腸に穿孔を起こしていた. 腹腔洗浄ドレナージと穿孔部の人工肛門造設術を行った. 術後も狭窄部の改善は認められなかった. 膵炎発症後は大腸狭窄にも留意し, また大腸の狭窄病変の鑑別診断には, 膵炎による狭窄も念頭に置く必要があると思われた.

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