日本消化器外科学会雑誌
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腹部症状を主訴に発症したHenoch-Schoenlein 紫斑病の1開腹例
清水 謙司中西 章人林 隆志佐藤 文平辻 雅衛
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2004 年 37 巻 2 号 p. 247-251

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抄録

腹部症状を主訴に発症した成人発症型Henoch-Schoenlein紫斑病の1開腹例を報告する. 症例は58歳の男性で, 主訴は左上腹部痛. 平成14年9月頃より軽度の上腹部痛を自覚. 10月頃より下痢, 下血が出現. 11月13日に左上腹部を中心に強い腹痛を自覚し当院受診. 左上腹部を中心に圧痛, 反跳痛を認め, 腹部CT 検査にて十二指腸および上部空腸に著明な壁肥厚を認めた. 腸閉塞, 腸壊死などを否定できず緊急開腹術を施行. 開腹所見にて散在性に空腸壁の著明な発赤・肥厚を認めた. 非特異性腸炎疾患の可能性を考え, 病変は切除せず閉腹した. 術後右下腿の紫斑および蛋白尿が判明. 内視鏡検査にて十二指腸壁の浮腫と発赤を認め, 生検・免疫組織化学染色にてIgA 沈着を伴う細血管炎を認めた. 成人発症型Henoch-Schoenlein紫斑病の診断にてステロイド投与を開始. 約1か月にて腹部症状, 紫斑, 蛋白尿は消失した.

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