2005 年 38 巻 12 号 p. 1795-1804
目的: 大腸癌におけるCA72-4組織内発現と予後・再発規定因子としての有用性を明らかにする. 対象と方法: 大腸癌手術症例211例を対象に, CEAおよびCA72-4免疫組織化学染色を施行した. CEA染色パターンはdiffuse cytoplasmic pattern (DC) とapicoluminal pattern (AL) に分類し, CA72-4染色パターンは陽性群と陰性群に分類して腫瘍全体 (CEAtumor/CA72-4 (tumor) cyto) と腫瘍先進部 (CEAmargin/CA72-4 (margin) cyto) で染色判定を行った. CA72-4では, さらに腫瘍組織内の間質または腫瘍内粘液結節を腫瘍細胞外 (CA72-4ex) と定義して染色判定を行った. 結果: 多変量解析による累積生存ではCA72-4ex分類が最も高いハザード比を示し, 陽性群が陰性群に比べ有意に予後不良であった. 染色パターン分類による再発後生存では, CA72-4ex 陽性群だけが陰性群に比べ有意に予後不良であった (p=0.0063). 再発形式ではCA72-4 (tumor) cytoとCA72-4ex陽性群に非血行性再発を含む症例が多く, 有意差を認めた (p=0.0232, p=0.0221). 考察: CA72-4ex陽性例は非血行性再発を伴いやすく予後不良であり, 術後再発時の治療方針決定に有用な指標となる可能性が示唆された.