日本消化器外科学会雑誌
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放射線化学療法で6年間CRが継続している再発性胃癌の1例
藤井 雅和沖野 基規藤岡 顕太郎山下 勝之濱野 公一
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2006 年 39 巻 1 号 p. 49-54

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抄録

症例は67歳の男性で, 主訴は検診での異常. 平成9年11月に検診の胃内視鏡検査で胃体下部大彎側に2型の胃癌を認め, 平成10年1月に幽門側胃切除術, D2郭清, Billroth II法再建が施行された. 進行度はmp, n2, H0, P0のstage IIIAであった. 術後療法としてUFT300mg/日が投与された. 術後1年目のCTで, 30×25mmの傍大動脈リンパ節の腫大を認め, CEAは207. 2ng/dlと上昇していた. 胃癌の再発の診断で, 平成11年2月に当科入院, 放射線化学療法が施行された. 放射線照射は計30Gy施行し, 同時にlow-dosecis-diamminedichloroplatinum (以下, CDDP)+UFT療法が併用された. 治療開始約1か月半後のCTでpartialresponse (以下, PR) と判定された. 平成11年6月にCEAが陰性化し, CT上明らかなリンパ節を認めず, completeresponse (以下, CR) と判定された. その後, 現在まで約6年の間CRが継続している. 本症例は限局性再発であったため, CDDPを用いた放射線化学療法のよい適応であると考えられた.

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