日本消化器外科学会雑誌
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イレウス管による十二指腸水平脚憩室穿孔の1例
道免 寛充松本 譲児嶋 哲文平口 悦郎小西 和哉村上 貴久平野 聡近藤 哲
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2006 年 39 巻 1 号 p. 55-59

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抄録

3回の開腹歴がある79歳の女性が, イレウスの診断で当院内科に入院となった. 同日イレウス管の挿入が行われたが, 十二指腸水平脚近位にとどまり, より遠位に進めることが困難であった. 翌々日, 症状の改善なく, イレウス管造影検査で腸管外への造影剤の漏出と, 腹部CTで十二指腸周囲のfree airを認めたため, イレウス管による十二指腸穿孔の診断で緊急開腹術を施行した. 手術所見では十二指腸水平脚に憩室が存在し, 同部よりイレウス管の脱出を認めた.憩室切除, ドレナージ術, 結腸右半切除術を施行した. 十二指腸憩室が穿孔を来すことはまれであり, 穿孔例の多くは下行脚の憩室である. 医原性穿孔は3例のみ報告されているが, イレウス管による穿孔例は, 本邦では他に報告は見当たらない. イレウス管挿入時に十二指腸にて先進しない場合は, 憩室の存在も念頭におき, 慎重な操作を心がける必要があると考えられた.

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