抄録
症例は76歳の男性で, 2001年10月に検診で胃の異常陰影を指摘され, 精査加療目的で当科を紹介された. 血液検査では腫瘍マーカーは正常であったが可溶性IL-2レセプターは926U/mlと高値であった. 上部消化管造影, 内視鏡検査では前庭部に2型の腫瘍を認めた. 生検では悪性リンパ腫が疑われた. 以上から, 胃悪性リンパ腫を疑い2001年12月胃全摘, 脾摘術を施行した. 病理組織学的, 免疫組織学的検査で胃小細胞癌と診断した. 術後CPT-11による化学療法を施行した. 2003年8月の腹部CTで肝S7に22mm大の腫瘍を認め肝転移が疑われた. その他全身に異常を認めなかったため2003年11月, 肝S7S8部分切除術を施行した. 病理組織学的に肝腫瘍は胃切除組織と同様であり胃小細胞癌の肝転移と診断した. 肺転移の疑いがありVP-16による化学療法を施行中であるが胃切除から3年, 肝切除から1年1か月の現在生存中である.