日本消化器外科学会雑誌
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下腿に皮下結節脂肪壊死を伴った膵腺房細胞癌の1切除例
岡村 行泰石榑 清石川 忠雄猪川 祥邦菅江 崇高瀬 恒信中山 茂樹矢口 豊久原田 明生中村 隆昭
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2006 年 39 巻 3 号 p. 352-357

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抄録
膵腺房細胞癌の発生頻度は膵外分泌腫瘍の約1%とまれな腫瘍で, 特に皮下結節脂肪壊死を伴った報告例は本邦で過去2例のみである. 症例は75歳の男性で, 主訴は食欲低下で, 左上腹部には10cm大の弾性硬な腫瘤を認め, 両下腿に皮下結節を認めた. 血液生化学検査ではリパーゼ, エラスターゼIで高値を認め, CEA, CA19-9は基準値範囲内であった. 腹部CTで左上腹部に充実成分と液体成分の混在する巨大な腫瘍を認めた. 膵原発の腫瘍を疑い, 膵尾部切除術を行った. 病理組織検査の結果, 膵腺房細胞癌と診断された. 術前高値を示したリパーゼ, エラスターゼIは正常値となり下腿の皮下結節も消失した. 術後, 4年経過した現在, 再発の兆候なく経過観察中である.
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