日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
肝炎ウイルス関与を否定しえた自己免疫性肝炎に合併した肝細胞癌の2切除例
増田 稔郎別府 透石河 隆敏杉山 眞一高森 啓史金光 敬一郎広田 昌彦高岡 了田中 基彦馬場 秀夫
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 40 巻 3 号 p. 277-283

詳細
抄録
肝炎ウイルス関与を否定しえた自己免疫性肝炎(AIH)に合併した肝細胞癌(HCC)の2切除例を報告する. 症例1は36歳の女性で, AIHに対し, 23年間のプレドニゾロン(PSL)内服治療中, HCCを指摘され, 肝切除術を施行した. 腫瘍は径4.8cmで, 高分化型HCCの内部に中~低分化のHCCを認めた. 背景肝は慢性肝炎で, 血中のHBV-DNA, HCV-RNAともに陰性であった. 症例2は68歳の女性で, AIHに対して20年間のPSL内服治療中, HCCを指摘され, 肝切除術を施行した. 腫瘍は径2.5cmで, 中分化型HCCであった. 背景肝は慢性肝炎で, 血中, 肝組織中のHBV-DNA, HCV-RNAともに陰性であった. AIHにおけるHCCの発生機序としては, AIHの肝硬変への進行, ステロイドの長期投与, ウイルス性肝炎の合併などが想定されており, これらを詳細に検討する必要がある. 2症例とも背景肝は慢性肝炎であり, AIHに対して長期間PSL内服治療を受けていた. HBV, HCVの関与は少ないと考えられた.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top