日本消化器外科学会雑誌
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拡張胆管内に早期癌を合併したAlonso-Lej II型先天性胆道拡張症
大谷 眞二野坂 仁愛豊田 暢彦若月 俊郎竹林 正孝鎌迫 陽谷田 理加藤 圭
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2007 年 40 巻 3 号 p. 290-295

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抄録
先天性胆道拡張症のうちAlonso-Lej分類のII型(憩室型)の占める割合は1~2%とまれである. 今回, 拡張した胆管内に早期胆管癌を伴ったII型胆道拡張症を経験したので報告する.症例は53歳の女性で, 胆嚢ポリープとして当科入院. 画像検査で肝管の. 腫状の拡張が認められ胆道拡張症と診断された. 膵胆管合流異常は認められず, 拡張胆管内に7mm大の腫瘍性病変を伴っていた. 拡張胆管を含めた胆管切除が行われた. 拡張部は肝管より最大径6cmの憩室状となっており, 組織学的には線維増生と炎症細胞浸潤が認められた. 腫瘍は乳頭腺癌で深達度m, リンパ節転移はなかった. II型胆道拡張症の多くは膵胆管合流異常を伴わないが, 胆道癌合併の頻度は少なくない. 一般に胆道拡張症における発癌には膵液の関与が高いとされているが, 本例のような場合, 膵液の影響は小さいものと考えられ, 興味深い症例であると思われた.
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