日本消化器外科学会雑誌
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総胆管に穿破した破裂性膵十二指腸動脈瘤の1例
木川 雄一郎池田 宏国仲本 嘉彦原田 武尚竹尾 正彦小縣 正明山本 満雄
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2007 年 40 巻 3 号 p. 307-312

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抄録
膵十二指腸動脈瘤(以下, PDAA)は近年のinterventional radiologyの発達に伴い報告例も増えてきつつある. 破裂後に診断されることが多く, 破裂した場合, 出血部位はさまざまで, 消化管, 後腹膜, 腹腔内などである. しかし, 総胆管への穿破は報告が少なく, 極めてまれといえる症例を経験した. 症例は56歳の男性で, 大酒家で慢性膵炎の既往があった. 急性胆嚢炎にて入院し, 保存的治療後, 腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った. 術後, 膵炎が増悪し, 保存的治療にて軽快していたが, 8日目に突然吐血した. 緊急内視鏡検査で, 十二指腸乳頭部からの出血を認め, 腹部CTでは総胆管に出血を思わせる像を認めた. ただちに腹部血管造影検査を行ったところ, 後上膵十二指腸動脈に仮性動脈瘤と造影剤の血管外漏出を認めた. マイクロコイルを用いた塞栓術が可能で, 止血に成功した. 総胆管に穿破した例は極めて少なく, 文献的考察を加えて報告する.
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