日本消化器外科学会雑誌
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主膵管内腫瘍発育を呈した膵腺房細胞癌の1例
尾上 俊介加藤 岳人柴田 佳久鈴木 正臣平松 和洋吉原 基池山 隆鈴村 潔水谷 哲之安藤 晴光
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2007 年 40 巻 3 号 p. 313-318

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抄録
症例は46歳の女性で, 健診にて膵腫瘍を指摘された. 腹痛, 黄疸はみられず, 血液生化学検査では膵型アミラーゼ, CA19-9が異常を認めるのみであった. 腹部超音波検査, CTでは膵頭部に直径約5cmの境界明瞭で, 膨張性に発育する腫瘍がみられ, 尾側主膵管は拡張していた.膵管造影検査では主膵管に陰影欠損を認めた. 幽門輪温存膵頭十二指腸切除術にて腫瘍を摘出した. 腫瘍は肉眼的に充実性で, 被膜を形成し, 膨張性発育を呈した. 組織学的検索では腺房細胞癌と診断され, 主膵管内への発育がみられた. 術後8か月経過し, 社会復帰している. 最近10年間の膵腺房細胞癌切除本邦報告例は40例みられ, そのうち3例に膵管内腫瘍栓がみられた. 本腫瘍は膨張性に発育するため周囲へ浸潤しにくいが, 膵管内腫瘍栓を形成することがある.
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