日本消化器外科学会雑誌
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自然破裂による腹腔内出血を呈した退形成性膵管癌 (巨細胞型) の1例
松村 祥幸岩井 和浩川崎 亮輔松井 あや妻鹿 成治市之川 正臣高橋 透宮本 正樹平野 聡近藤 哲
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2007 年 40 巻 4 号 p. 456-461

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抄録

自然破裂による腹腔内出血を呈した退形成性膵管癌の1例を経験した. 症例は59歳の男性で, 腹痛を主訴に当院を受診した. 腹部US, CTにて膵体部腫瘍と多発肝転移を認めた.腹痛の増強を認めたため緊急入院し, CTにて腫瘍の著明な増大と大量の腹水が認められた. 試験的腹腔穿刺では血性腹水が吸引され腹腔内出血の診断で緊急開腹術を施行した. 腫瘍の破裂による出血と判明し, 膵体尾部切除術を施行した. 病理組織診断にて退形成性膵管癌と診断した. 術後, 化学療法を施行するも効果なく癌性悪液質が進行し, 術後18日目に死亡した. このように退形成性膵管癌は急速に増大する間に自然破裂を生じる可能性がある.

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