日本消化器外科学会雑誌
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若年者に発症した非B非C型肝細胞癌の1例
海堀 昌樹石崎 守彦内田 洋一朗斎藤 隆道植村 芳子関 寿人上山 泰男
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2007 年 40 巻 5 号 p. 617-622

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抄録

症例は20歳の男性で, 平成15年9月上腹部痛を認め近医へ救急搬送された. 肝腫瘍破裂にて肝動脈塞栓療法が行われた. 当院へ転院後CT, MRI, 血管造影検査にて肝右葉から内側区域におよぶ多発性腫瘍を認めた. 血清AFP25,100ng/mlと高値を示し, 肝細胞癌の診断にて11月手術施行した. S7/8に7cm大, S6に6cm大, S4に1cm大の腫瘍を認め, 拡大肝右葉切除術を施行した. 組織学的には中分化型肝細胞癌であり, T4N0M0, Stage IVaであった. 術後経過は良好で2年6か月経過した現在, 無再発生存中である. 若年者の肝細胞癌はまれであり, またB型肝炎由来であることが多いが, 本症例では血液中肝炎関連ウィルスマーカー, HBVDNA, HCV-RNAともに陰性であった. 若年者非B非C型肝細胞癌では肝硬変合併が少なく肝機能が比較的良好であり, 高度進行肝癌であっても腫瘍の完全切除が可能であるならば, 可及的早急に手術を施行すべきであると考えられる.

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