日本消化器外科学会雑誌
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下大静脈, 肝静脈鬱血を伴う巨大肝未分化肉腫の1切除例
平田 貴文別府 透石河 隆敏杉山 眞一高森 啓史金光 敬一郎本田 由美櫻井 健一広田 昌彦馬場 秀夫
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2007 年 40 巻 5 号 p. 623-628

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抄録

症例は52歳の女性で, 約2か前より全身倦怠感と呼吸苦が出現し, 精査にて直径20cm超の巨大肝腫瘍を認め当院紹介となった. 37歳時に不妊治療のためホルモン療法を行った. 進行性の貧血, 呼吸困難, 両下肢の腫脹を認めperformance status(以下, PSと略記)は3であった.USでは腫瘍は肝前~内側区域に存在し内部は多彩で, 右, 中肝静脈根部は描出されず, 左肝静脈や右グリソン鞘は圧排されていた. 単純CTで一部に高吸収域を認め, MRI, T1強調像にて高信号で腫瘍内出血と診断した. 造影CTで腫瘍辺縁より内部に向かう動脈と腫瘍濃染を認めた. 下大静脈は腫瘍により圧排されていた. 肝細胞腺腫や肉腫を疑い前方アプローチによる肝右3区域切除術を行った. 腫瘍径23cm, 重量4kgであった. 術後再膨張性肺水腫を認めたが改善し, PS0となった. 術後病理診断は肝未分化肉腫であった. 術後9か月の現在, 無再発生存中である.

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