症例は52歳の女性で, 約2か前より全身倦怠感と呼吸苦が出現し, 精査にて直径20cm超の巨大肝腫瘍を認め当院紹介となった. 37歳時に不妊治療のためホルモン療法を行った. 進行性の貧血, 呼吸困難, 両下肢の腫脹を認めperformance status(以下, PSと略記)は3であった.USでは腫瘍は肝前~内側区域に存在し内部は多彩で, 右, 中肝静脈根部は描出されず, 左肝静脈や右グリソン鞘は圧排されていた. 単純CTで一部に高吸収域を認め, MRI, T1強調像にて高信号で腫瘍内出血と診断した. 造影CTで腫瘍辺縁より内部に向かう動脈と腫瘍濃染を認めた. 下大静脈は腫瘍により圧排されていた. 肝細胞腺腫や肉腫を疑い前方アプローチによる肝右3区域切除術を行った. 腫瘍径23cm, 重量4kgであった. 術後再膨張性肺水腫を認めたが改善し, PS0となった. 術後病理診断は肝未分化肉腫であった. 術後9か月の現在, 無再発生存中である.