日本消化器外科学会雑誌
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C-kit陽性食道原発悪性黒色腫の1例
小林 隆照屋 正則清水 誠一郎三木 健司田中 穂積小林 薫森田 恒治
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2008 年 41 巻 1 号 p. 22-28

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抄録
c-kit陽性食道原発悪性黒色腫の1例を経験した. 食道原発悪性黒色腫の生物学的悪性度は極めて高く, 一般に予後不良とされている. 症例は66歳の男性で, 貧血を主訴に来院し上部消化管内視鏡検査にて食道原発悪性黒色腫と診断された. 免疫組織学的検索の結果, 悪性黒色腫のマーカーであるHMB-45, S100, チロシナーゼに陽性であったほかに, c-kitも陽性であった. 患者が術後補助化学療法を拒否したため経過観察としていたが, 8か月後の胸部CTにて肺転移・縦隔リンパ節転移を認めたため2度目の手術を施行. 病理組織学的検査結果は, 悪性黒色腫の転移であった. その後も化学療法を拒否されているが, 初回手術から3年9か月経過した現在, 明らかな再発兆候なく生存中である. 本症例は我々の知るかぎり食道原発悪性黒色腫におけるc-kit発現の最初の報告であり, 文献的考察を交え報告する.
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