日本消化器外科学会雑誌
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胃壁内に多発転移を認めrhabdoid featureを示した胃癌の1例
勝部 亮一飽浦 良和松本 剛昌村嶋 信尚五味 慎也
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2008 年 41 巻 1 号 p. 57-63

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抄録

症例は54歳の男性で, 食欲不振・体重減少を主訴に近医を受診し, 胃癌と診断された. 胃癌からの出血が著明で, 当院に紹介された. 術前検査にて膵・脾浸潤, 肺転移が認められたが, 出血コントロール目的にて胃全摘, 胆摘, 脾・膵体尾部合併切除を行い, Roux-en-Y法にて再建した. 主病変は穹隆部に位置しpor1, si, ly2, v1, pm (-), dm (-), n2であった. 肛門側の多発小病変はいずれも主病変と同一の組織所見を示す腫瘍であり, 主病変と他の多発小病変に連続性は認められず, 壁内転移と診断された. 胃癌の胃壁内転移症例は予後不良であることが多く, 本症例も術後1か月目には肝転移も出現し化学療法を開始したが, 次第に肝・肺転移ともに増大し, 術後4か月目に永眠された. 胃癌の胃壁内転移症例は報告例が少なく, また転移巣は単発であることが多い. 多発胃壁内転移を認めた本症例は非常にまれであり, 文献的考察を加えて報告する.

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