日本消化器外科学会雑誌
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術前化学療法が奏効したAFP産生胃癌の1例
湯浅 康弘沖津 宏山村 陽子滝沢 宏光石倉 久嗣一森 敏弘石川 正志木村 秀阪田 章聖
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2008 年 41 巻 1 号 p. 64-69

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抄録

症例は66歳の男性で, 慢性B型肝炎のため経過観察中, 2006年2月,#12腹腔内リンパ節腫大を指摘され, 内視鏡検査で胃噴門直下に4cm大の1型腫瘍を認め乳頭状腺癌と診断された. 腫瘍マーカーはAlpha-fetoprotein (以下, AFP) が333ng/mlと高値であった. T2N3M0: stage IVの診断で化学療法を行った. TS-1(120mg/日)をday 1~14, day 1およびday8にDo-cetaxel(60mg/日), CDDP (10mg/日) をday1~5, 8~12に経静脈投与した. 画像上PRが得られ, AFP値も45ng/mlと低下し, 胃全摘を行った. 病理組織学的診断では原発巣に癌の遺残はなく, 郭清リンパ節にもGrade 2の効果が得られた. そのうち, 1個にのみ腫瘍の残存を認め, AFP染色陽性であった. TS-1による補助化学療法を3コース施行し, 術後14か月経過した現在再発はない. 化学療法が奏効したAFP産生胃癌の1例を報告する.

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