抄録
症例は61歳の女性で, 11年前より真性多血症 (polycythemia vera; 以下, PV) と診断され内科的治療を施されていた. また, IgA腎症による腎不全にて人工透析, ステロイド療法を施行されていた. 強い腹痛を主訴に外来受診. 大腸穿孔による汎発生腹膜炎と診断された. 緊急手術を施行し, 直腸S状結腸移行部に楕円形の穿孔を確認, S状結腸切除, 人工肛門造設術を施行した. 宿便性大腸穿孔と診断された. 術後集学的治療を行い術後40日目に軽快退院となった. PVを合併した患者の手術成績は不良で, 緊急手術例もまれである. 文献的考察とともに報告する.