日本消化器外科学会雑誌
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MRI拡散強調画像が多発大腸癌の術前診断として有用であった家族性大腸腺腫症の1例
宮本 英典西岡 将規栗田 信浩吉川 幸造東島 潤宮谷 知彦本田 純子島田 光生
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2008 年 41 巻 2 号 p. 253-257

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抄録
近年, MRI拡散強調画像 (以下, DWI-MRI) が腹部疾患の診断にも応用されている. 今回, S状結腸に全周性の狭窄を伴った多発大腸癌の口側の病変の評価としてDWI-MRIが有用であった症例を経験したので報告する. 症例は26歳の女性で, 家族歴は父方の祖母, 父が47歳に大腸癌で死亡. 平成17年6月頃より食欲不振と下痢が出現し近医を受診. 下部消化管内視鏡検査で直腸からS状結腸に多発する無数のポリープとS状結腸に全周性狭窄を認め精査加療目的で紹介された. 狭窄部位より口側に内視鏡は通過しなかったが, 術前のDWI-MRIで5か所の同時性多発癌と診断した. 平成17年8月, 大腸全摘術を施行. 病理組織学的診断で全大腸に計8か所の大腸癌を認めた. 遺伝子検索では, エクソン15のコドン1309から1311で欠失が認められFAPと診断された. DWI-MRIは狭窄病変により内視鏡が通過しない場合, 狭窄部位より口側の病変の検索に有用である可能性が示唆された.
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