日本消化器外科学会雑誌
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尿路感染症状を伴ったS状結腸憩室炎による炎症性偽腫瘍の1例
大石 晋館岡 博池永 照史郎一期松谷 英樹吉崎 孝明黒滝 日出一武内 俊
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2008 年 41 巻 2 号 p. 264-268

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抄録
尿路感染症症状を契機に発見されたS状結腸憩室炎による炎症性偽腫瘍の1例を経験した. 症例は62歳の女性で, 頻尿, 血尿を主訴に当院泌尿器科を受診. 抗生剤を投与されたが症状は改善せず入院となる. 症状改善後の膀胱鏡では膀胱三角部の粘膜の浮腫を認めた. 骨盤CT, MRIでは骨盤腔に約5cmの充実性腫瘍を認め, 注腸造影X線検査にて同部に一致してS状結腸の狭窄と憩室を認めた. 腫瘍はS状結腸憩室炎に起因するもので膀胱と強固に癒着していたが結腸膀胱瘻は認められなかった. 腫瘍を含めたS状結腸切除術を施行した. 腫瘍は壊死と出血を伴った線維性の腫瘤で, 漿膜下から結腸周囲脂肪組織内に認められ炎症性偽腫瘍と診断された. 術後は良好に経過し第21病日退院した.
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