抄録
持続的スポーツ訓練を受けた運動選手が訓練を受けない対照群に比較して, 筋労作を伴う精神的肉体的機能の変動がどのように現われるかを解析しようとして次の如き実験を試みた。
よくトレーニングを積んだ運動選手5名とそうでない対照者5名に自転車エルゴメーターを用いて, 60・90・ 120・150・180・240ワット, 毎分50回転の負荷を10分間与え, 負荷前及び負荷終了5分後に集中維持機能 (TAF) を, 負荷前安静時5分間, 負荷中, 負荷終了後検査が終わるまで連続的にハートレート (PIP) を測定した。
その結果: 1) 脈搏数は安静時, 労作時, 回復時ともに対照群が運動選手より有意に多かった。2) 筋労作に伴う集中維持機能の低下も対照群の方が運動選手より早い段階で現われた。3) 労作時脈搏とTAF-Lとの間に負の相関が認められ, 相関の度合は運動選手の方が有意に高かった。