抄録
硫化水素に対して優れた吸着力を有する新しいタイプの含窒素活性炭 (AC-CN) を, メチロール-メラミン-尿素 (MMU) を用いて調製した。原活性炭No. 5 (比表面積: 957.2m2/g; H: 0.62; C: 91.69; N: 0.87%) に20%-MMUアルコール溶液を含浸させ, 850°Cで熱処理することにより, 既報のAC-CNよりも優れた吸着力を有するAC-CN No. 10 (比表面積: 823.3m2/g; H: 0.00; C: 88.82; N: 2.82%) を得た。次に, 原活性炭No. 5とAC-CN No. 10に対する硫化水素の吸着等温線を30°Cにおいて求め, それらの吸着等温線に二項式を適用し, MMU処理によるミクロ孔とスーパーミクロ孔の細孔構造の変化について調べた。AC-CN No. 10のミクロ孔容積 (r<6-7Å) は原活性炭より約15.5%増大したが, スーパーミクロ孔容積 (6-7<r<15-16Å) は原活性炭より約22.8%減少した。これらの結果とミクロ孔, スーパーミクロ孔の平均半径の結果とから, ミクロ孔容積の増大は, ミクロ孔径の拡大によるのではなく, スーパーミクロ孔容積の減少に基づくミクロ孔の数的増加に基因していると考えられる。