1995 年 2 巻 p. 5-16
「薬づけ、検査づけ」医療に対する批判が多いが、主に入院外について社会医療診療行為別調査を分析すると、その実態は利潤追求よりむしろ技術の浸透による医療費の増加にあったと推測される。生化学的検査Iのマルメ対象項目の項目数は、診療所から中小病院、大病院、医育機関の順にに増加しており、また1988年と1991年を比べれば、どの医療機関分類でも増加していた。画像診断においてはCT撮影の実施率は増加し、X線特殊撮影と造影剤使用撮影は若干減少して、両者の間には技術の代替が部分的に見られた。一方、1991年について薬剤を分析すると新薬の利用割合はいずれの薬効分類においても高いが、医療機関および患者の各属性との間には明らかな傾向は見られなかった。以上の分析から、現状を改善するためには公的大病院を中心に各病院のパフォーマンスにリンクした包括料金の導入と新たな薬剤政策を検討する必要があるといえよう。