2009 年 21 巻 1 号 p. 25-38
本報告の目的は、埼玉県内に存在する全ての病院の経営主体を、「医療・介護複合体」に着目して調査し、その病院全体におけるシェア、過去10年間の変化、及び、それらの特徴を明らかにすることである。ここで言う「医療・介護複合体」とは、複数の病院を経営するか、または、病院と介護施設の両方を経営する病院経営主体を指す。わが国の病院は、減少の一途をたどる中で激しい生き残り競争にさらされている。その対応策として「病院のチェーン化」「保健・医療・福祉複合体化」等が指摘されてきた。近年「複合体」の一層の発展が指摘されており、実態解明の必要性は依然として高いと考えられる。
本調査時点で、埼玉県内で病院を経営する病院経営主体のうち31.4%が何らかの形での医療・介護複合体であり、そのもとにある病院は全体の43.6%、複合体のもとにある病床は全体の61.2%である。トータルなシェアだけではなく、病床の種類や病院の類型の全てにわたって複合体の病院は存在し、それぞれで大きなシェアを占めている。96年から06年までの10年間で、単独型は著しく衰退し、複合体は、そのシェアを病院数で13%、病床数で11%拡大した。また、10年間で新たに形成された複合体が少なくとも29あり、その多くは、単独型の病院が老健施設を開設したことによる。M&Aに該当する事例も6例見られた。このような結果、本研究では以下の3点が、明らかになった。
(1)「医療・介護複合体」は医療サービスの主たる担い手となっている
(2)「医療・介護複合体」の拡大は継続する流れである
(3)「医療・介護複合体」の形成と拡大は、病院経営の多角化として捉えられる