人文地理
Online ISSN : 1883-4086
Print ISSN : 0018-7216
ISSN-L : 0018-7216
Special Issue
インドにおける人文地理学の展開―現状と今後の課題―
シャンムガム ピライ・スッバイア
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 60 巻 6 号 p. 501-515

詳細
抄録

地理学はインド世界の複雑性を理解するための適切な方法の一つで,こうした地理学の潜在的可能性は政策立案者らによって広く認識されている。インド地理学の歴史は約80年と浅く,草創期では農業と土地利用の研究,都市地理学,人口地理学,集落地理学が研究の中心であった。1970年代および1980年代には,政府系各機関の二次データを活用した計量的手法による研究が普及し,統計的手法の応用はインドの地理学における理論構築をめざした探求が着手される契機となった。そして,1990年代までには,コンピュータの応用とリモートセンシングが地理学者にとって一般的な手法となり,現在では農業,都市空間,人口,社会問題に関する研究やGIS,リモートセンシングが主要な研究分野となっている。また,1990年頃から研究テーマに対する社会的責任を主張する研究者もみられるようになり,今日では性差別の問題,社会葛藤,不平等と格差など,人間が抱える数多くの問題は優先度の高い課題となってきている。

著者関連情報
© 2008 人文地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top