人文地理
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特集 サハラ以南アフリカの経済格差における食料と土地
ウガンダ南西部の農村における女性世帯の土地所有の脆弱性と経済格差
中澤 芽衣
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2017 年 69 巻 1 号 p. 57-72

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抄録

アフリカ農村社会では,性別役割分業が存在し,夫と妻はお互いに与えられた役割を果たしながら生存基盤を確立している。近年,世界的に女性が世帯主の世帯(以下,女性世帯)が増加傾向にあり,女性世帯は,男性が世帯主の世帯と比較すると貧困に陥る傾向がある。調査国であるウガンダ共和国も,女性世帯が全世帯の30%を占めている。本稿は,女性世帯の配偶者との離別の経緯や土地の所有状況,世帯の収支に着目しながら,女性世帯間の経済格差を明らかにすることを目的とする。現地調査を通して,女性世帯の間でも経済状況が異なっていることが明らかとなった。土地所有の有無は,女性世帯間の経済格差を生み出す要因のひとつであり,土地を所有できるかどうかには,配偶者の経済状況と離別のしかたが大きく影響していた。土地を所有している女性は,農作業や非農業就労に従事しながら,生存基盤を確立することができていた。一方,土地を借用している女性は,農作業に従事しつつも自給を確保するのは難しい状況であった。女性世帯のなかでも経済格差が拡大していくことが示唆される。今後,経済・社会的に脆弱で,生活が窮乏する女性を支援する必要がある。

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© 2017 一般社団法人 人文地理学会
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