頭頸部癌
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化学療法・合併症治療など
高齢頭頸部癌患者に対する外来TS-1単剤治療
―Tumor Dormancy Therapyの可能性について―
大上 研二濱野 巨秀竹尾 輝久関根 基樹和田 涼子飯田 政弘
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2007 年 33 巻 1 号 p. 43-47

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抄録

入院治療を望まない高齢者頭頸部癌患者に対して,初回治療として外来TS-1単剤治療をおこない,投与方法と有害事象,治療効果について検討した。
対象と方法:65歳以上の前治療のない頭頸部扁平上皮癌患者8例(平均73.8歳),ほとんどがステージIVAであった。病状を十分に説明の上,患者,家族の希望により本治療を選択した場合のみを対象とした。投与量は体表面積あたりの推奨投与量の67%から100%まで,投与方法は4週投与2週休薬から2週投与2週休薬まで,それぞれ症例に応じて変更した。投与期間は1ヶ月から2年(現在継続投与中を含む)までである。
結果:治療効果はCR 1例,PR2例,SD2例,PD3例であった(奏効率38%)。生存期間は4ヶ月から2年。Grade 4以上の白血球減少,Hb低下を1例,Grade 3の食欲不振を2例に認めた。3例はQOLを維持して1年以上の在宅療養ができた。67-80%の低用量の抗癌剤でPRやSDを維持した症例もあり,高齢者に対する治療としてはTumor Dormancy Therapyとしての長期投与も有用と考えた。

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© 2007 日本頭頸部癌学会
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