2007 年 33 巻 1 号 p. 48-53
我々は静岡県立静岡がんセンターにおいて,3年間に頭頸部領域で放射線単独療法あるいは化学放射線療法を受けた患者249例を対象に,治療中に生じた口内炎について後ろ向きの調査を行った。口腔が照射域に含まれないものをA群(73例)に,口腔内照射線量が40Gy未満のものをB群(66例)に,口腔内照射線量が40Gy以上のものをC群(110例)に分類した。C群で化学放射線療法群(62例)は放射線単独療法群(48例)に比べGr.2以上の口内炎が生じるリスクは5.6倍 (OR 5.6;95% CI:2.1-14.9)であったが,B群では有意差が認められなかった。さらにC群の中で化学療法併用群に限ると,5-FU使用群(50例)は,非使用群(12例)に比べGr.2以上の口内炎が生じるリスクは17.1倍になった(OR 17.1;95% CI:2.8-106.0)。以上の結果から口腔内照射線量が40Gyを越える場合に,5-FUは口内炎増悪の重要なリスク因子となることが明らかになった。