頭頸部癌
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同時重複癌症例の頭頸部癌と他臓器癌との治療方針
当科における同時重複癌症例の頭頸部癌と他臓器癌の治療方針
志賀 清人小林 俊光
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2008 年 34 巻 1 号 p. 14-18

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抄録
当科にて2002年から2006年の5年間に診断・治療した頭頸部癌一次治療例のうち多重癌の頻度が高い口腔,喉頭,中・下咽頭癌症例387例について,同時性重複癌の診断・治療法について検討した。口腔癌121例中多重癌症例は23例(19%)であり,同時性3例,異時性19例(うち3重癌1例),同時性・異時性1例(3重癌1例)であった。喉頭癌130例中多重癌症例は27例(21%)であり,同時性5例,異時性20例(3重癌1例),同時性・異時性2例(3重癌1例,5重癌1例)であった。中咽頭癌50例中多重癌症例は19例(38%)であり,同時性6例,異時性12例(3重癌2例,4重癌1例),同時性・異時性1例(3重癌1例)であった。下咽頭癌86例中多重癌症例は44例(51%)であり,同時性21例(3重癌5例),異時性19例(3重癌4例),同時性・異時性4例(3重癌3例,4重癌1例)であった。他癌としては食道癌が最多で,胃癌がこれに続き,上部消化管の精査で重複癌の70~80%が検出されると考えられる。口腔癌では頭頸部癌の重複が多く,下咽頭癌と喉頭癌症例では頭頸部癌の重複は稀であった。また多重癌症例の予後は多重癌のない症例に比べ有意に不良の傾向を示した。同時性重複癌の治療は,頭頸部癌と他癌の部位,進行度によってその治療方針(手術なのか放射線治療なのか),治療の順序を考慮する必要があり,当科における治療方針について報告する。
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© 2008 日本頭頸部癌学会
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