2010 年 36 巻 3 号 p. 359-362
2006年4月から2008年3月までの2年間に当科を受診し,加療を行った75歳以上の頭頸部悪性腫瘍患者46例を対象とし,年齢・性別,原発部位,病理組織学的分類,病期分類,合併症,Performance status(以下PS),経過観察期間,治療,転帰,累積生存率,疾患特異的生存率を検討した。
結果は,合併症をもった症例は全体の35例(76.1%)に認められ,治療の縮小・無治療の症例は15例(32.6%)であった。高齢者の治療に関しては,合併症,患者の予備能力,PS,余命,家族環境などさまざまな要因を考慮した上で治療を選択しなければならないと考えられた。
また,症例数は少ないが,姑息的治療を行っても半数以上は治療を契機に生命予後を悪化させていると考えられ,姑息的治療の場合には十分な検討,インフォームドコンセントが必要であると考えられた。